世界には、約18種生息するうなぎですが、日本にはニホンウナギとオオウナギの2種類がいます。通常私たちが食べているものは、ニホンウナギです。
気象庁の予測では、今年も猛暑になるとか。王様であるうなぎパワーの恩恵をいっぱい受けて、この夏、乗り切りましょう。

ジリジリと容赦なく射す夏の太陽、拭い去ってもすぐに滴り落ちる汗。そう、夏こそ”うなぎ”、弱ったからだにパワーを吹き込んでくれる頼もしい食材です。今回は、このうなぎの魅力を徹底解剖!
私たちが食べているウナギは、殆どが養殖もので、年間通じていつでも美味しく食べることが出来ます。しかし、人工孵化の技術はまだ確立されておらず、稚魚は貴重な天然資源なのです。
その稚魚をシラスウナギといいますが、長年ニホンウナギの産卵場所は謎とされてきました。
実際に産卵現場はとらえられていませんが、研究者たちの努力の結果、マリアナ諸島の西側海域あたりということがわかって来ました。
産み落とされた卵は、一週間程で孵化し、7〜15mm位の葉形幼生レプトケファルスと呼ばれる仔魚になります。(左記写真)
仔魚は海面を漂いながら、西へ流れる北赤道海流に乗って、フィリピン近海まで運ばれ、さらにここから黒潮に乗って日本近海にたどり着きます。
ここで、変態し50〜65mm程の半透明なシラスウナギとなり、海から河川に遡上し十年近くを淡水域で生活します。(右記写真)
その後産卵の為、生まれ故郷のマリアナ海域まで長いたびをし、命を譲り一生を終えます。マリアナ諸島は、ニホンウナギの誕生の場であり墓場でもあるのです。
日本の養鰻(ようまん)業は、明治12年(1879)に服部倉次郎氏が東京深川で養魚池を造ったのが始まりです。
愛知県では、明治27年に県水産試験場で養殖が始まり、明治37年には一色町生田に養殖池が創設され、一色町は日本一のウナギ王国の礎を築きました。
2000年の養殖ウナギの総生産量は、24,126トン、うち愛知県は8,317トンで全体の35%を占め全国で第一位、その愛知県の総生産量の75%を占める6,260トンが一色町で養殖されています。
ウナギの仔魚のシラス漁は、12月に解禁となり4月ころまで続きます。河を遡る6cm程のシラスを採捕の許可を得た人々が天然採捕し、養殖業者がそれを買い付けます。
養殖池では、水温、餌など極め細やかな管理のもと飼育され、6ヶ月後には200g以上の成鰻になり、出荷されます。
興味深いのは、ウナギの性の分化が体長18cmくらいになると始まり、養殖環境では体長が40cm以下では雄の割合が90%を越え、50cm以上では雌のみになるということです。
養殖が始まり120余の歴史がありますが、種苗であるシラスウナギの人工孵化は飼育技術が確立されずまだまだ困難であり、現在ではすべてを天然資源に依存しています。
夏はウナギの出荷も最盛期をむかえ、それに伴い消費量も多くなります。蒲焼は調理が簡単、食して美味しいもってこいのメニューです。
その蒲焼、昨年は71,313トンの輸入があり、90%が中国からのもので、輸入品と国産の割合は7対3です。船便のコンテナで2週間かけて日本にやってきます。中国の福建省からが圧倒的に多く、名古屋市中央卸売市場でも中国産の取り扱いは多いです。
中国での養殖は20年程前から始まり、今ではその加工工場の規模は、日本のそれを上回り、技術も設備も最新の投資がされています。ただ、蒲焼に使う”たれ”は日本から製造して中国へ輸出しているそうで、うなぎ専門店が”たれ”にこだわりを持つように、味の決め手は、ゆだねられないようです。
今年は昨年より価格もうんと安く、輸入量も増えているそうで、これは仔魚のシラスウナギの採捕量が多く、過剰なまでに生産されたようです。その裏には、数年来取り上げられている、地球温暖化の影響が反映されており、世界の海を巡る海洋大循環の一つである黒潮は、種々の浮遊生物を運ぶと共に膨大な熱の輸送を通して世界の気候に深く関与していることが解ってきました。
今年の”土用の丑”は7月25日、二の丑で8月6日と二回丑の日があります。ご存知のとおり、夏の土用(立秋前18日)にウナギを食べる習慣が一般化したのは、幕末の蘭学者、平賀源内の『本日土用の丑の日』というコピーに端を発しています。
入荷量も多く、価格は昨年の二分の一ときていれば食べない方はないですよね。ご覧のように仲卸も店舗に提灯をつるし、うなぎ商戦に気合も十分。丑の日にこだわらず、美味しいものは、何度でも頂きたいもの。皆さんの食卓にも数多く登場すること間違いなしのウナギ事情です。
ウナギには良質のタンパク質やカルシウム、ビタミン類が豊富に含まれていますが中でもビタミンAは群を抜いています。その含有量は、魚肉100gあたり5,000IUと牛肉の200倍です。
まさに、ビタミンAの宝庫と呼んで相応しい食品で、成人病を予防するビタミンEも勝っていて、動脈硬化の原因であるコレステロールを防ぐ働きが若さを取り戻してくれます。
また、脳の働きを活性化するDHA(ドコサヘキサエン酸)や血管を丈夫にするEPA(エイコサペンタエン酸)もサケやアジの二倍近く含まれていて、ウナギはその栄養価からみて魚の王様といってよいでしょう。
医学的には全く根拠はなく、こう言われる所以は貝原益軒の『養生訓』にあるようです。この教訓書には、生活上の心得ておくべきことが説かれていますが、そこには”銀杏に鰻”とあり、これがいつのまにか”梅干に鰻”と取り違えられたといわれます。
鰻屋へいくと奈良漬が一緒に出てくるお店が多いですが、これは酒粕の色素であるメラノイジンという物質が、うなぎのビタミンとカルシウムの吸収を助ける働きがあるという理由があるからだそうです。