分類上では、石灰質の硬い甲羅を持つ「コウイカ目」と、透明で柔らかい甲羅を持つ「ツツイカ目」の二つに大別されます。イカは加工品として消費される比率が約50%ととても高く、そのなかでも、漁獲量の約80%を占めるスルメイカが、最も多くするめに加工されています。
日本はイカの大消費国で、世界総生産量250万tのうち、90万tが日本人によって消費され、また一番よく食べられているのがこのスルメイカで、なんと20年間もトップの座を守っているそうです。
「するめはお酒の肴よ」 なんて思ってるあなた、するめの隠れた魅力にあっ!とびっくりの今月号です。
いかーす栄養
するめの原料であるイカは、高タンパク、低カロリー、低脂肪の優れた健康食品です。ですからするめも、イカと同様の栄養効果が望めます。
タンパク質 83.5g
エネルギー 404Kcal
脂 質 2.4g
カルシウム 96mg
タウリン 933mg
イカのタンパク質は、加工しても壊れにくい筋原繊維タンパク質の割合が多いので、するめに加工されても豊富に残っているのです。(1日の栄養所要量は70gです)
そのタンパク質のなかで光っているのがコラーゲン。これは皮膚にとても多く含まれ、肌の原料とも言えるものです。美肌を保つにはコラーゲンの摂取が大切なんですね。
また、脂肪を構成している脂肪酸は、善玉コレステロールを増やす働きのDHA(ドコサヘキサエン酸)と、血液を固まりにくくする働きのEPA(エイコサペンタエン酸)の不飽和脂肪酸で、これらは身体に必要とされるにもかかわらず、体内では合成できない大事な物資なのです。
そして忘れてならないのが、タウリン。するめの表面に白い粉が吹いていますよね。それがタウリンなんです。
タウリンとはアミノ酸の一種で魚介類や軟体動物に多く含まれていて、脂肪の消化・吸収に関与し、成長には欠かせない栄養素です。さらには、コレステロールの低下作用や、眼精疲労の回復に大きな効果があるとわかっています。
するめは、噛んでも噛んでもなかなか口の中から消えないため、消化が悪いように思われがちですが、消化率は90%と高く決して消化の悪いものではないので、栄養面からも考えてもどんどん摂りたい優れた食材です。
イカの違いはするめの違い
原料のイカの種類によって、するめの種類も異なります。一般的には、身が厚く細身で、足が太く白いものが良いするめとされています。
ケンサキイカ
ケンサキイカで作るするめは「一番するめ」とよばれ、肉厚で柔らかく最も美味しいものです。
そのなかでも五島列島付近でとれるケンサキイカで作ったするめは、「五島するめ」といわれ商品価値も高く、味も最高級のものです。
スルメイカ
それに対して、スルメイカで作られるするめは「二番するめ」といわれ、ケンサキスルメより肉が薄めで、やや硬いものです。松前半島の福島町は全国一のするめ生産量で「松前いか」とも言われます。
5月から9月が旬で、夏のイカです。一雨ごとに成長し、秋口には肉質が充実します。日本近海のみの漁獲量では足りない為、アルゼンチンやカナダ、ニュウージーランド等からの輸入品にも頼っています。
するめは干し方によって硬さが変わりますが、同じスルメイカを一夜干しにしたものが、松白するめと呼ばれるものです。
これは、半乾品で水分を残した干しするめです。おつまみにもいけますが、料理の素材としても使えます。対馬の特産品で、対馬するめとも呼ばれています。
ヤリイカ
1月から5月が旬で春のイカです。スルメイカより柔らかく甘みがあり、味のよい高級するめは「笹するめ」といわれます。
この他に、神前への御供用として作られる「白するめ」と言われるものがあり、これもヤリイカが原料です。
日本のガムはするめだ
噛むということは、あごや顔の筋肉を使い、舌でものの硬さを感じ、その情報は大脳へ送られます。噛むことはすなわち、脳を刺激し、脳の活動を活性化するんですね。そしてその刺激は脳に覚醒効果をもたらします。
また、噛むことによって、唾液に含まれる唾液腺ホルモン(パロチン)の分泌が促進され、このホルモンによって老化が防止されます。
柔らかいものが好まれる今日の食生活では、成長期に噛む刺激が不足し、顎の骨や筋肉が充分発達せず、かみ合わせや歯に悪影響を及ぼしています。
アメリカが老化防止の為にチューイングガムを推奨するなら、日本は自然食品のガムといえる「するめ」のススメをし、噛むことの大切さをもっとアピールすべきなのでしょう。
しあわせの象徴”するめ”
するめ(寿留女)は、延長5年(927年)に撰進された法令の施行細則である「延喜式」に、朝廷への献上物として記されています。
今では、長期保存に耐え、家に留まり不時の備えをかためる縁起物として、さらにはかめばかむほど味が出る夫婦になって欲しいという願いから、結納品の飾り物に使われています。
その他の祭儀にもするめ(寿留女)は供え物として使われており、勝男武士(鰹節)と並んで古くから祝儀に用いられていたようです。
また、大相撲の土俵中央には「鎮物(しずめもの)」、いわゆる地霊へのささげ物として洗米・塩・昆布・勝栗そしてするめの五品が、紙に包んで水引をかけられ埋め込まれているそうです。
俗にするめのことを「アタリメ」といいますが、このように縁起の良い象徴として使われるするめなのに『擦る目』に通じて縁起が悪いということで、『當たり目』と洒落たのが始まりだとか。
漬物でも低カロリーな惣菜に
松前漬けサラダ
松前藩に国替えとなった武士が、特産の昆布とするめを混ぜて作ったものが松前漬。
自家製松前漬であっさりサラダ、お酒の肴にも副菜にもばっちりの、初夏に食べたい一品です。
材 料(6人分)
するめの胴・・1枚、昆布30cmほどのもの・・1枚、漬け汁(A)【しょうゆ1/2カップ・酒1/2カップ・みりん1/4カップ】
きゅうり・・2本、かぶ・・2個、ラディッシュ・・2個
作り方(6人分)
1.松前漬を作る。
するめの胴と昆布をはさみで細切りにする。漬け汁(A)を合わせる。清潔な広口ビンにするめと昆布を入れ、漬け汁を加える。時々ビンをふって2〜3日おく。
2.
きゅうりはせんぎり、かぶ、ラディッシュは薄切りにし、冷水に放つ。
3.
野菜の水切りをし、1と2をあえる。
れんこんの松前漬け
お弁当のおかずに彩りを添え、手軽に出来て栄養にも優れた、お薦めの一品!
材 料(4人分)
れんこん・・250g、するめ・・25g、昆布・・15g、にんじん・・適宜
(A)たかのつめ・・1/2本、砂糖・・大さじ1、しょうゆ・・大さじ1と1/2、酢・・大さじ1、水・・大さじ1/2、酒・・大さじ1
作り方(4人分)
1.するめ、昆布、にんじんは千切りにし、たかのつめは小口切りにする。
2.れんこんは皮をむき、薄切りにして酢水につけしばらくおく。
3.そのまま5分ほどゆで、みずにさらしてぬめりをとる。
4.(A)をよく混ぜ合わせ、ひとにたちさせてさます。
5.4に1と3を加えて漬け込む。
6.しばらく置いてあじをなじませる。