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公正な採用選考確立のためのお願い(全国同和教育研究協議会)
公正な選考と採用について

 求人にあたっては、広く門戸を開き、選考・採用においては、適正な制度を確立して、就職の機会均等を保障していくために、次のことについてご尽力くださいますよう要請いたします。


《就職の機会均等について》
  1. 「同対審」答申の精神に則り、その趣旨を尊重され、公正な選考・採用の実現にご尽力下さるようお願いします。
  2. 定時制・通信制課程の生徒ならびに二部の学生に対して、求人票の送付から選考、採用、入社後にいたるまで差別的な処遇が行われないようご尽力くださることをお願いします。
  3. 「障害」をもっている生徒・学生については、「障害者基本法」「障害者の雇用促進等に関する法律」などの趣旨に沿って積極的に雇用をすすめ、職業開発等に取り組まれるとともに、適切な職場環境の整備がはかられるようご尽力くださることをお願いします。
  4. 女子生徒・学生の採用については、「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」(男女雇用機会均等法)に基づき、雇用について均等な機会が与えられるようご尽力くださることをお願いします。
  5. 在日韓国・朝鮮人をはじめとする外国籍の生徒・学生については、国籍の違いによる差別選考・採用が行われないようご尽力くださることをお願いします。
  6. 国立・公立・私立、本校・分校・分級・分教室などによる差別が行われないようご尽力くださることをお願いします。
  7. 縁故者を特別に優遇する、いわゆる縁故募集や縁故採用を廃し、雇用条件、採用基準に適合するすべての生徒が応募でき、公正な求人・選考・採用が行われるようご尽力くださることをお願いします。

《身元調査について》

 応募者に対する身元調査は、いかなる形であっても、公正な選考を阻害し、職業選択の自由を侵す結果となります。選考・採用にあたって、こうしたことが絶対に行われないようご尽力くださることをお願いします。


《学力検査・面接・採用選考時の健康診断について》
  1. 学力検査に作文を課する場合、たとえば「私の生い立ち」「私の家族」などのような題で書かせることは、結果的に人権を侵し、差別につながる恐れがありますので、身元調査や思想調査につながる文題が課されないようご尽力くださることをお願いします。
  2. 面接時において、家族構成や家族の職業および生活環境についての質問等、身元調査や思想調査につながる質問が行われないようにご尽力くださることをお願いします。
  3. 採用選考時の健康診断、とりわけ血液・尿検査の実施につきましては、「統一応募用紙」制定の趣旨に反するとともに、応募者のプライバシーを侵害するものであります。こうした採用選考時の健康診断が行われないようご尽力くださることをお願いします。

応募書類について
《「統一応募用紙」制定の趣旨の徹底について》

 「統一応募用紙」は、就職差別をなくし、同和地区の子どもたちの就職の機会均等と就労の完全な保障をめざし、また本人の適性と能力のみに基づく公正な採用選考の確立をはかっていくために、1973年に制定されました。

 しかしながら現実には、根深い差別意識の存在する社会状況の中で、「会社所定用紙」の使用や面接時の不適正質問、「戸籍謄(抄)本」等の不適切な書類の提出、身元調査の実施など、「統一応募用紙」制定の趣旨に反する差別選考はいまだにあとを絶ちません。また採用内定後に提出を求められる「身上書」等の書類の中にも、差別に結びつく多くの問題点が指摘されております。

 こうしたことから私たちは、厚生労働省・文部科学省をはじめとする関係各方面に対して「統一応募用紙」制定の趣旨が、全国的規模でいっそう徹底されるとともに、「極めて悪質かつ重大な差別事象を惹起し、是正指導に応じない事業主に対しては、求人の不受理、紹介停止等の措置」も含めて、実効性のある行政指導を行われるよう求めているところであります。

 こうしたことにつきまして、ご理解をいただきますとともに、毎年の採用選考に際して、本人の適性と能力のみに基づく公正な採用選考がはかられるべく、「統一応募用紙」の趣旨をさらに徹底していくことにつきまして、今後とも格別のご尽力をお願いします。


《「統一応募用紙」の改善と、積極的な雇用平等政策について》

 日本では、男女雇用機会均等法以外に就職差別を禁止する法律が存在しない中で、唯一「統一応募用紙」が就職差別をなくしていく機能をはたしてきています。改定が重ねられた「統一応募用紙」にも、いまだ改善すべき点があります。私たちは、「本人の適性、能力」に無関係な、履歴書部分の「保護者」「課程名」欄および写真の削除や、調査書部分の身体状況欄の改善に向けての検討など、いっそうの改善をはかるとともに、雇用平等法の制定等、積極的な雇用平等政策の展開を求めているところであります。

 これらのことにつきまして、ご理解とご協力をお願いします。


《採用内定後の提出書類について》

 「戸籍謄(抄)本」等に記載されている事項は、身元調査につながる恐れがあり、また、採用内定期間中においても不必要であると思われます。

 採用内定時に、差別につながる書類の提出を求めることがないようにご尽力くださることをお願いします。


《「就職協定廃止」にともなう「倫理憲章」の実行について》

 就職協定協議会は、1997年度(平成9年度)大学及び高等専門学校卒業予定者の就職・採用活動について、「就職協定」を締結しないことを定められました。それに代わって「教育及び企業経営の根幹は道義にあり、大学卒業予定者の就職採用においてもこのことを重視すべきことを確認し」、企業側は「新規学卒者採用の選考に関する企業の倫理憲章」を定め、大学側は「大学及び高等専門学校卒業予定者に係る就職事務について(申合せ)」を定められています。

 就職協定が事実上効力を発揮していないということをもって、就職協定を遵守する方向ではなく、廃止を決定されたのは、はなはだ遺憾なことと言わざるをえません。

 就職協定が廃止されたことに鑑み、各企業におきまして、「新規学卒者採用の選考に関する企業の倫理憲章」が実行されますよう引き続き、強く要請します。


《公正採用選考人権啓発推進員の配置と、人権に関する研修推進について》

 今日、政治・経済をはじめさまざまな分野における活動が世界的規模で展開され、「国際化」があらゆる方面において語られる時代となってまいりました。しかし、日本には、諸外国から「人権赤字国」という指摘がなされる現実も多数存在しております。

 「人権教育のための国連10年」も既に「後期5年」にはいっています。1996年7月4日に制定された「人権教育のための国連10年」に関する国内行動計画には、「企業その他一般社会における人権教育等の推進」という項目があります。企業においても、その活動が人権尊重の基盤にたって行われなければならない責務が課せられていると考えます。

 すべての企業において「公正採用選考人権啓発推進員」や管理職などが中心となり、公正な採用選考システムの確立を含め、同和問題をはじめとする人権問題について、事業所内で研修が行われ、正しい認識と理解が深められていくようご尽力をお願いいたします。


《新規高等学校卒業者の採用拡大と内定取り消し等の問題について》

 就職を希望する高校生は、3年間の学校内外の活動をふまえて、保護者・学校とも十分に協議して、求人票をもとに、事業所を選定し、学校長の推薦を受けて応募します。しかし、採用選考を経て内定を受けても、その後、企業の都合で内定が取り消されたり、企業そのものが倒産してしまうケースも増えています。

 9月5日の厚生労働省の発表によりますと、高校新卒者の求人倍率が 0.5倍とかつてない厳しい状況になっています。未曾有の不況の下で各企業の状況は厳しいものがあることは理解しておりますが、新規高等学校卒業者の採用の拡大をはかるとともに、新規高校卒業者に対する内定取り消し等の問題点の解決についてご努力くださるようお願いします。


《ILO111号条約及び「雇用平等法」(仮称)について》

 全同教は就職差別の撤廃を目指し、ILO111号条約の批准と「雇用平等法」(仮称)の制定を求めています。貴連盟におかれましても、その趣旨にご理解とご協力をお願いします。

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